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円形脱毛症治療最前線!ガイドラインから見えてくる治療法

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昨今の医療技術の発展により、日本皮膚科学会を中心に、ハゲ治療の指針とも言うべき、診療に関するガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン」が作成され、円形脱毛症に対する研究が行われていることをご存じですか?不幸にして円形脱毛症になってしまった場合でも、皮膚科の医師がガイドラインを軸にした治療法を行うことで、一昔前よりも効果的なアプローチが行えるようになってきました。

円形脱毛症治療の最前線を知り、まずは自分がどのような治療を受けるのか、といった心構えを作ることや、その治療法は正しいのか、ということを知っておきましょう。

そもそも円形脱毛症のガイドラインって何?

そもそも円形脱毛症のガイドラインって何?

日本皮膚科学会と毛髪科学研究会(Society for Hair Science Research :SHSR)の共同事業として発足し、毛髪疾患の治療に深く関わってきた皮膚科の専門医により委員が選定されました。その委員会が作成した円形脱毛症治療法のガイドラインです。例えばある治療法に対して、委員全員で有効かそうでないかを臨床的質問に置きかえ、論文情報を元に科学的根拠を加え、推奨度を定めたものです。

このガイドラインが生まれた背景として、円形脱毛症は後天性脱毛症の中でも最も頻度の高い疾患とされており、アメリカで人口の0.1~0.2%に発生しています。日本でも同程度と考えられています。また円形脱毛症には予後から見ると4つの大きなカテゴリに別れ、脱毛面積において重症度の分類も考察されてきました。このことから個々の症例に対する治療法が考案されましたが、科学的見地からどの治療法に効果があるのか、ということは一般の医師の間でも決めることは困難でした。そこで、皮膚科の専門家が集まり、このガイドラインができたとされています。

推奨度から見えてくる治療の現在

推奨度から見えてくる治療の現在

ガイドラインにはいくつかの治療法に推奨度と呼ばれる、治療に対する目安が記されています。この推奨度は記号によって表され、A~Dの段階で決められています。それぞれの推奨度にはエビデンスのレベルも設定されており、個々の意見にとらわれない科学的見地によって決められていることがうかがい知れます。

以下の表は、推奨度、エビデンスにおけるレベル分類になります。ここで知っておきたいポイントは、たとえ専門委員会の意見であったとしても、推奨度が高いものとして判断されず、あくまで実験などで得られたデータをもとに推奨度が決められているという点です。

またこれから説明を行う各治療法において、推奨度はBが最高であり、いくら研究が進んだとはいえ、強く推奨される治療法がないことを知っておくことも大事です。

推奨度の分類

記号(レベル) 推奨度に対するコメント
A 行うよう強く勧められる(少なくとも1つ以上の有効性を示すレベルⅠもしくは良質のレベルⅡのエビデンスがあること)
B 行うよう強く勧められる(少なくとも1つ以上の有効性を示す、質の劣るレベルⅡか良質のレベルⅢ、あるいは非常に良質のレベルⅣのエビデンスがあること)
C1 行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない(質の劣るⅢ~Ⅳ、良質な複数のⅤ、あるいは委員会が認めるⅣのエビデンスがある)
C2 根拠がないので勧められない(有効なエビデンスがない、あるいは無効であるエビデンスがある)
D 行わないように勧められる(無効あるいは有害であることを示す良質なエビデンスがある)

エビデンスのレベル分類

  

記号(レベル) 推奨度に対するコメント
システマティック・レビュー/メタアナリシス
1つ以上のランダム化比較試験
ランダム化比較試験
分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究
記述研究(症例報告や症例集積研究)
専門委員会や専門家個人の意見+

各治療法と推奨度

それでは実際に各治療法について、治療の内容のほか、ガイドラインがどういった推奨度を設定しているかどうか確認してみましょう。なお本文はガイドラインをもとに作成していますが、推奨度が高いから完治する、といったものではございません。症状には個人差があるため、自分自身の具体的な治療法の進め方などについては、専門の医師の判断を受けることとし、参考程度に覚えておくことをオススメいたします。

ステロイド局所注射

推奨度:B

頭部より毛髪が抜けた部分(脱毛斑)に対して、ステロイドを直接頭皮内に注射を行います。ステロイドが炎症を抑え、自己免疫疾患による症状を改善することを目的としています。

ステロイド局所注射の発毛促進効果を評価するランダム化比較試験は実施されていないものの、発毛の評価指標が改善されたという高い根拠があると言われています。これは円形脱毛症の中でも単発型、多発型いずれも有効性があるという研究発表が複数ありました。

局所免疫療法

推奨度:B

局所免疫療法とは患部に薬品を塗布し、人為的に弱い炎症(かぶれ)を起こすことで発毛を促すという療法です。特に広範囲の円形脱毛症に向いていると言われています。

局所免疫療法の発毛促進効果を評価するランダム化比較試験は実施されていないものの、複数の症例集積研究と症例対照研究によって、脱毛範囲が縮小するという信頼性の高い根拠が見いだされています。また頭髪面積の25%以上を喪失したS2以上の多発型、全頭型、汎発型の症例に対して、年齢を問わず第一に選択した方がいいという治療法となっています。

点滴静脈注射によるステロイドパルス療法

推奨度:C1

内服のものと比較して高濃度のステロイドを点滴によって投与を行う療法で、発症後6カ月以内の急速に症状が進行した成人には用いても良いとされる治療法です。メチルプレドニゾロン 500mg/日もしくは8mg/kg/日を3日連続で点滴静注を行うことで、治療前と比較して脱毛範囲が縮小したことが確認されました。なお子供に対してこの治療法は安全性が確立されていないため、推奨されていません。

ステロイド内服ないし内服ステロイドパルス療法

推奨度:C1

脱毛が急速に進行している成人に施しても良いとされている治療法です。内服による効果は認められたものの、その終了後に脱毛が高確率で再発することや、副作用として肥満や糖尿病、月経不順などが引き起こされることが確認されています。また経口ステロイドパルス療法では重症型を含む患者に治療を行ったところ、高い発毛効果を得ています。ただ、いずれも副作用が治療効果を上回ることもあり、その根拠については疑わしいものがあるとされているようです。

第2世代抗ヒスタミン剤

推奨度:C1

1983年以降に発売された抗ヒスタミン剤を第2世代と呼んでいますが、第1世代と比べて副作用が少ないと言われています。一般的には抗アレルギー剤として使われます。
アトピー要因の単発型、多発型の症例に併用療法として用いても良いと言われています。アトピー要因の症例であれば、一定の効果が認められており、発毛効果について十分な根拠があるとされています。

セファランチン

推奨度:C1

有効成分アルカロイドを中心とする薬物で、アレルギーを抑え血流をよくする効果がある薬品で脱毛症の治療に使われています。

単発型、多発型の症例において併用療法で用いてもいいと言われています。セファランチンの発毛促進効果を評価するランダム化比較試験はないものの、内服によって脱毛範囲の縮小が評価された報告があります。しかし関与している因子が多いため、科学的な評価には至っておらず、現段階では実証されていません。

グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合剤

推奨度:C1

グリチルリチン、メチオニンは肝機能の回復、皮膚の炎症を抑える効果があり、グリシンには抗うつ作用、睡眠改善といった効果があると言われています。

単発型、多発型の症例において併用療法で用いてもいいと言われていますが、実際にグリシン複合剤を主軸とした症例研究が少ないため、治療効果や再発率などの評価がわかっていません。

ステロイド外用

推奨度:C1

ステロイドを外用で用いることは、アトピー性皮膚炎をはじめ、皮膚の疾患にはごく一般的に用いられる薬品の一つです。あまりなじみのない人でも聞いたことがある名前かもしれません。

全病型の第一選択肢として用いても良いと言われています。一定の回復効果は認められているものの、有益性のある実証はされていません。しかし、診療実績には感化できないこともあり、全病型の第一選択肢として推奨されています。ただし、全頭型や汎発型に対しては期待できないと報告があります。

塩化カルプロニウム

推奨度:C1

塩化カルプロニウムは内服、外用とタイプが分かれていますが、ミノキシジルと同様、血管を拡張する薬品として使われています。血流効果の促進から髪、頭皮にいい影響があることからAGA治療などでも使われています。

単発型、多発型の症例において塩化カルプロニウムは併用療法で用いてもいいと言われています。プラセボと比較して、有意な発毛効果があることを示す根拠はありますが、その程度は弱いとされています。他の療法と併用することで脱毛範囲の縮小が認められていますが、こちらも根拠としては弱いようです。

ミノキシジル

推奨度:C1

元々は、高血圧を緩和する血管拡張薬として使われていましたが、その後、脱毛症を回復させるに至る程度の育毛効果が発見されたことから、現在においては育毛のための成分として広く知られるようになりました。

単発型、多発型の症例においてミノキシジルは併用療法で用いてもいいと言われています。プラセボと比較して、有意な脱毛範囲の縮小を示唆する根拠はありますが、その程度は弱いとされています。また広範囲に脱毛している場合は無効であるとガイドラインには記載されています。このことからミノキシジルの有効性は現段階では実証されていないようです。ただし海外での診療実績もあることから、併用として活用することが推奨されています。

冷却療法

推奨度:C1

冷却療法とは別名、雪状炭酸圧抵療法とも言われています。ドライアイスを患部に一定時間当てることや、スプレーを照射することで人為的に炎症を起こさせ、発毛の促進を図るという治療法です。全頭型のような重症例には不向きですが、単発型、多発型の症例において併用療法で用いてもいいと言われています。液体窒素または雪状炭酸を圧抵すると、治療前と比べて脱毛範囲が縮小されることを示唆する弱い根拠が見いだされています。

直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)

推奨度:C1

特殊な装置を利用し、皮膚内部にまで届く赤外線を患部に照射を行うことで、内部の炎症を抑えることを目的としています。円形脱毛症以外では、筋肉、関節内部の炎症を沈静化させるために用いられます。簡単に治療を受けることができ、副作用も軽い点があることから、単発型や多発型の治療に使用される場合があります。

単発型、多発型の症例において併用療法で用いてもいいと言われています。塩化カルプロニウム、セファランチンなどを併用しながら、この治療法を用いた場合、発毛回復期間が短縮されたことを示唆する弱い根拠が見いだされています。ただし全頭型や汎発型に対しては無効とのデータがあります。

PUVA療法

推奨度:C1

PUVA(プーバ)療法とは光線療法の一つで、紫外線を用いた治療です。紫外線の吸収を人工的に高め、紫外線(UVA)を一定時間照射します。元々は乾癬(かんせん)治療のために用いられる両方で、強い免疫反応に対して紫外線を照射することで、免疫の弱体化を図ったものです。

局所免疫療法が無効だった全頭型、汎発型の成人に対して行ってもいい療法と言われています。この療法については施行前と比べて脱毛範囲が縮小する弱い根拠が見いだされていますが、再発率も高いことから、治療法として疑問視されている部分もあります。ただし一般的な治療法であることも考慮し、選択肢の一つとして用いても良いとされています。

シクロスポリンA(CyA)

推奨度:C2

アトピー性皮膚炎の治療法として、シクロスポリンAが用いられることがありますが、これは臓器移植時の拒絶反応抑制、自己免疫疾患に対して用いられる薬品です。

CyAを内服すると脱毛範囲が縮小することを示唆する弱い根拠が見いだされていますが、休止後、脱毛が再発する他、高血圧や腎機能障害などが高確率で発症しているため、有益性よりもリスクが高く、現時点では推奨されていません。

漢方薬

推奨度:C2

柴胡加竜骨牡蛎湯合を始めとする11種類の漢方薬を使用し、通常型、全頭型、汎発型いずれにおいても脱毛範囲が縮小したことを確認していますが、他の治療法と比べても効果があったかどうかの報告や検証がないため、有効性に疑問が残るとされています。そのため今後の臨床試験で検証が進められるまでは、日常的に使用しないほうがいいと言われています。

精神安定剤

推奨度:C2

三環系抗うつ薬(アモキサン等)を内服することで脱毛範囲が縮小したとする弱い根拠が見いだされていますが、臨床試験における記載が曖昧で、その背景や科学的評価に必要な条件も水準に達していなかったことから、効果があったとはいいにくいと言われています。そのため日常診療では用いないほうがいいと言われています。

アンスラリン外用

推奨度:C2

乾癬(かんせん)の治療薬として用いられるアンスラリンを使った治療法です。アンスラリン外用により、外用前と比べて脱毛範囲が縮小する、重症例に対して発毛を示す効果があったとされる弱い根拠がありますが、国内において尋常性乾癬(かんせん)の治療に対して認められた薬品でないことから、使用しないほうが良い、とされています。

催眠療法

推奨度:C2

不安や抗うつへの治療の一つとして催眠療法が使われていますが、円形脱毛症がストレス起因であると考え、この療法が用いられた記録があります。

催眠療法の前と後で比べた場合、脱毛範囲が縮小する、という弱い根拠が見いだされていますが、そもそも症状や実施の背景、科学的な評価などが不明であるため、効果があるとは実証されていません。また精神科医においても催眠療法は専門外であるため、今後の臨床試験によって十分、検証されるまでは控えたほうが良いとされています。

鍼灸治療

推奨度:D

はり治療による発毛効果は事例としていくつか効果があるという報告はあるものの、脱毛範囲などの条件や、治療後の経過などに記録がないため、医学的根拠がなく評価する基準にないと言われています。現在のところ、その有益性についても議論する段階にないため、発毛、育毛を目的としたはり治療は行うべきでないとされています。

分子標的治療

推奨度:D

メモリーT細胞を障害する免疫調節合成タンパク質、抗インターフェロン・ガンマ抗体等を投与したところ脱毛範囲が縮小したことを示す弱い根拠が見いだされています。しかし分子標的治療はまだ臨床実験の初期課程にあるため、十分なデータが得られておらず、この治療法を用いるべきではないとされています。

かつら

推奨度:C1

これまで項目として挙がった治療法とは違い、かつらを使用することで、行動の未熟性、情緒不安定(ストレス等)、髪の毛が抜けてしまったことによるコンプレックス、喪失感を緩和する目的で使用されます。あくまで容姿の変貌を補うものとして使用されますが、頭皮を紫外線から守ることや、外傷を防ぐ意味でも推奨できるとされています。また円形脱毛症の症状自体を改善するものではありませんが、スウェーデンでは、かつらを医療器具として認め健康保険の適用もあることから、日本においても医療法上、認知されるべきとのコメントがあります。

おわりに

円形脱毛症の研究は現在でも臨床試験をはじめ研究が引き続き行われており、これまでの治療法はもちろんのこと、新しい治療法についても実験を繰り返しながら実現に向けた動きがとられています。この記事の参考にした「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010」では、私たちが知っているもの以外の治療法も記載されており、一定の効果が認められたもの、そうではなかったものが素人が読んでも、ある程度の方向性がわかるものでした。

円形脱毛症の診療にあたっては、医師の診察を仰ぎ、個々の条件に合った治療法で治療をするほかありませんが、まだ技術として確立されていない治療法や、コンプレックスをビジネスにした怪しい治療法をうたう業者も少なからずいると思います。自分自身が正しい判断ができなくなってしまい、そうしたものに手を出す可能性も考えられることから、このガイドラインによる知識習得はあながち不必要なものとは言えません。ぜひ正しい知識、治療法のもとに円形脱毛症を克服してもらいたく思います。

ハゲ薄毛研究所編集部

ハゲ薄毛研究所編集部

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